広告代理店に運用を依頼しているけれど、きちんと運用してくれているのか気になる事はありませんか?
自分でチェックできるのがベストだけど、どこを見てどう判断すればいいのか分からない人も多いのではないかと思います。
ちょっとググればチェックポイントはいくつも出てきますが定性的なチェック項目が多く、そもそも初心者ではその良し悪しに関する判断は不可能です。
そんな方は必見!
結論から言うと、予算起因のインプレッションシェア損失率という定量指標が定常的に5%を超えていないかを確認することで、代理店が広告予算の無駄遣いをしていないかチェックできます。
言い換えると、CV数やCPA改善の可能性を発見することが出来ます。
もちろん、この指標で全ての問題をあぶりだすことができるわけではありません。
しかし、このチェックで問題アリと判断されるアカウントには、当方の経験上その他問題も芋づる式に見つかる可能性が非常に高いため、最重要チェック指標と考えています。
本記事では、なぜこの指標が自動入札であれ手動入札であれ重要であるのかという理由の解説から、具体的なチェック手順まで深堀り解説して参ります。
記事自体は少々長いですが、チェック作業自体は初心者でも5分で完了しますので、是非読み進めてみてください!
この記事の目次(クリックで遷移)
予算起因のインプレッションシェア損失率とは
予算起因のインプレッションシェア損失率とは、予算不足が原因で広告掲載ができなかった回数の割合です。
Google広告において、この指標は検索連動広告とディスプレイ広告それぞれに対して以下の通り異なる項目名が付与されています。
検索インプレッション シェア損失率(予算): 予算不足が原因で、検索ネットワークに広告が表示されなかった回数の割合です。キャンペーン単位でのみ確認できます。
ディスプレイ インプレッション シェア損失率(予算): 予算不足が原因で、ディスプレイ ネットワークに広告が表示されなかった回数の割合です。このデータは、キャンペーン単位でのみ確認できます。
Google広告においてこの指標は「キャンペーン単位」でのみ確認可能という点は覚えておいてください。
インプレッションシェア損失率(予算)が0%を超えているということは、「予算が足らずに広告配信が強制停止したことがある」ということを意味しています。
ちなみに、Google広告においてはインプレッションシェア損失率(広告ランク)という指標もありますが、これは今回チェックする必要はありません。
なぜなら、広告ランク起因のインプレッションシェア損失率は適正な入札単価調整の結果として発生する可能性も十分にあるためです。
ということで、ここでは広告ランクではなく、予算起因の損失率について見るべきであることをしっかりと押さえておきましょう。
インプレッションシェア損失率(予算)の発生はなぜ悪いのか
結論から言うと、インプレッションシェア損失率(予算)の発生は予算の無駄遣いと同じ意味であるからです。
また、予算の有効活用は広告運用の基本であり、不備の検知が簡単であり、改善効果が高いという理由から、インプレッションシェア損失率(予算)の指標は最重要のチェック項目であると考えています。
インプレッションシェア損失率の発生と予算の無駄遣いがなぜ同じ意味と言えるのか、結論までの説明をすっ飛ばしましたので、順に説明いたしますね。
インプレッションシェア損失率が発生しているということは、前述の通り広告予算が足らずに広告配信が強制停止されたということです。
本来はこうなる前に、以下いずれかの対応を行うことでインプレッションシェア損失の発生を防ぐのが適正な広告運用であり、例外はまずありません。
損失発生の前にすべき対応
- 予算を増額する もしくは
- 入札単価を抑制する(自動入札の場合は目標効率を引き締める)
予算増額した場合に想定される結果
増額対応を行う際には広告主に増額可否について確認する必要があります。
ここで増額が許可されれば、そもそもインプレッションシェア損失は発生せず、広告配信機会を最大限活用することが出来ます。
結果として、獲得CV数を増やすことが出来ます。
ただ、一般的には増額が難しいケースの方が多いですし、予算不足が想定されるたびに増額を繰り返していては、広告費が青天井に膨らんでしまいます。
また、そもそもCPAが芳しくない場合は増額ではなく、以下に述べる入札単価抑制で対応すべきです。
入札単価抑制時に想定される結果
入札単価抑制対応を行えば、期間を通して広告配信を続けることが可能となり、インプレッションシェア損失の発生を防ぐことが出来ます。
また、意外と知られていませんが一般的には入札単価を抑制してもCVRはほぼ維持されるため、CPCを低下させた分だけ結果的にCPAが改善するという効果があります。
これは非常に重要な効果ですので、しっかりと覚えておいてください。
ごく単純に考えると、入札単価とCPAはおよそ反比例することになりますので、仮に入札単価を半額にすればCPAも半額程度まで改善可能ということです。
その分広告掲載ボリュームは減少しますが、指をくわえて何もせずインプレッションシェア損失を発生させるよりも、CV数およびCPA共に良い結果に着地させられることは確実です。
なお、自動入札機能を利用していると直接的に入札単価を抑制することはできませんが、この場合は自動運用の目標効率の引き締めにより入札単価を抑制可能です。
具体的に言うと、目標CPAを設定している場合は目標CPAを下げる、目標ROASを設定している場合は目標ROASを上げるという対応で、入札単価を抑制できるということです。
インプレッションシェア損失率(予算)の発生は予算無駄遣いと同じ意味
インプレッションシェア損失が発生してしまった場合、前述の対応のいずれも行わなかったということを意味しています。
つまり、各対応の結果である「CV数増加」もしくは「CPA改善」の機会をみすみす逃す運用をしたということです。
予算増額は難しかったとしても、であれば入札単価の抑制を行うことでCPA改善につなげるべきであり、それが適切な広告運用です。
また、そもそもの話ですが、インプレッションシェア損失を発生させてしまうような高すぎる入札単価で運用がされていたという事自体も問題アリです。
適正な入札管理が行われていれば、予算の決定に合わせて月初から予算に応じた適正入札単価を計画的に設定することで、インプレッションシェア損失の発生を防ぐことが可能です。
これら対応をせずに高すぎる入札単価で広告配信を行うことで、本来改善できるはずだったパフォーマンスを改善させなかった、つまりは予算を無駄遣いしたという事実が、インプレッションシェア損失率(予算)という指標に如実に表れるのです。
この指標のチェックが非常に重要であることについて納得いただけたでしょうか。
どのようなケースでインプレッションシェア損失率(予算)が発生するのか
インプレッションシェア損失率(予算)は限りなく0%に近づけることが重要です。
ただし、一部ケースにおいてはその発生がやむを得ない場合もあります。
結論から言うと、問題かどうかの判断ポイントは「定常的にインプレッションシェア損失が発生しているかどうか」によります。
ここでは以下の代表的な損失発生ケースにおいて、それが問題であるのかどうかについて細かく見ていきましょう。
代表的な損失発生ケース
- ケース①:月末の着地予算微調整時にやむなく発生してしまった
- ケース②:急激なトレンド変化により意図せず広告配信が進んでしまった
- ケース③:予算減額時に入札上限単価を抑制しなかった
- ケース④:定常的に入札管理業務をサボっている
ケース①:月末の着地予算微調整時にやむなく発生してしまった
広告代理店にとって、広告費が予算超過してしまうことは絶対に避ける必要があります。
そのため、実務面においては月末に意図せず広告配信が進んでしまい予算超過する可能性を防ぐために、キャンペーン単位に設定している日予算の上限を下げて、予算超過しないための保険とも言える設定を施すことがあります。
この対応により、月末で一時的にキャンペーン日予算のキャップに実際の広告費が達してしまうことで、インプレッションシェア損失が発生することがあります。
これは、問題ありません。
望ましくは月末でも損失率は0%に抑えるべきではありますが、あくまで一時的な発生であり、かつ予算調整のためのやむを得ない対応とも言えますので、ここは目をつむっておくのがお互いのためです。
また、月末だけに発生する損失であれば、月間を通しての損失率はせいぜい3%程度となるので、月間を通してのパフォーマンスに与える影響も大きくはありません。
ケース②:急激なトレンド変化により意図せず広告配信が進んでしまった
商材にもよると思いますが、商品がテレビで公開されたりすると急激かつ一時的に検索ボリュームが大きく増大することがあります。
こういったケースにおいては、日別の広告費がキャンペーン日予算の上限に引っかかってしまい、インプレッションシェア損失が発生することがあります。
テレビ公開が予定されていたものであれば対応は可能ですが、そうでない場合ある程度はやむを得ないと考えるべきでしょう。
ただし、トレンド変化が急激でない場合や、そのトレンドが長期的に継続するにもかかわらず損失の発生を抑える運用がされていない場合はNGです。
ケース③:予算減額時に入札上限単価を抑制しなかった
実務面を見ているとこのケースでインプレッションシェア損失が発生するケースは非常に多く、注意が必要です。
仮に、広告予算が前月の半額まで減った場合、誠実かつ適正な運用を行う代理店であれば、入札単価を前月の7~8割程度にまで抑制することで、インプレッションシェア損失を発生させることなくCPAを改善させます。
もちろん、広告予算が減っているのでクリック数やCV数は低下しますが、CPAは改善できるのです。
しかし、適正な運用が行われていない場合、キャンペーン日予算の上限を半額まで抑制するという簡単な設定調整により毎日強制的に広告配信を停止させ、月間予算を順守する運用をする広告運用者もいます。
これは非常に良くありません。
本来は少々面倒であっても入札単価を下げてCPAを改善すべきですが、対応が非常に簡単であるキャンペーン日予算の抑制という手法を取ってしまうがために、広告費用対効果を犠牲にしているのです。
この対応を取った場合、入札単価は維持されるためCPAも維持されるだけです。
しかし、広告予算は前月の半分ですので、結果的にCV数も前月の半分となってしまうのです。
適正な運用を行っていれば予算を減額した場合、CPAは改善可能でありCV数も半分まで減ることはないということと比較すると、明らかなNG対応と言えます。
予算を減額したのにCPAが維持されてしまう場合、上記の様な不適切な運用がされている可能性が高いです。
なお、このキャンペーン予算上限による配信停止は、Google広告等のデフォルト設定だと、一日を通して配信のオンオフがオークション単位で間欠泉のように強制的かつ自動的に繰り返されることにより達成されます。
媒体のデフォルト設定だと0時~19時までは広告が配信され、それ以降は一切停止するといったような分かりやすい動きにはならないため、広告主も強制的な配信停止に気づきにくいのです。
そのためインプレッションシェア損失率(予算)を確認することで、本事象の発生をしっかり見る必要があるのです。
代理店が広告主の許可なしに勝手にキャンペーンをオフにすると、かなり怒られると思います。
一方、高すぎる入札単価を設定することによりキャンペーン日予算を超過してしまい勝手にキャンペーンがオフ状態になってしまう事象は、広告主が気付かないだけであり、実は至る所で発生しているのです。
特に予算を減額した際には、インプレッションシェア損失率を重点的にチェックすることで適正な運用がされているかチェックするようにしましょう。
ケース④:定常的に入札管理業務をサボっている
これはもう論外です。
もっとも楽な広告運用は、入札単価を高めに設定しておいて、キャンペーン日予算のキャップ設定で毎日配信を強制的に停止させる運用です。
この運用は本当に楽です。
仮に、月間予算が30万円のキャンペーンだとすれば、そのキャンペーンに日予算1万円の設定をして、高めの入札単価を設定するだけです。
こうしておけば、前述の強制的な配信オンオフが自動的に繰り返されることにより、広告費を月間予算ピッタリに着地させることが可能です。
そして、運用が楽であるというメリットの引き換えとして、費用対効果が恐ろしく悪い広告運用(!)が実現されるのです。
しかし、この運用はインプレッション損失率を見ることで簡単にあぶりだすことができます。
具体的には定常的に損失率が10%を超えているような場合、入札管理の怠慢を疑うべきでしょう。
具体的な損失率の確認手順
Google広告やYahooスポンサードサーチであれば媒体画面からインプレッションシェア損失率の確認が可能ですが、YDN等のその他広告等だと媒体画面から直接的に数値確認できないケースもあります。
そのため、各パターンに分けて数値確認方法を見ていきましょう。
もしも、そもそも代理店よりアカウントの閲覧権限自体を付与されていないという場合は、今すぐ付与してもらうべきです。
契約次第ではありますが、広告予算は広告主が支払っている以上、予算が適切に扱われているのか確認するための手段として、アカウント設定を閲覧する権利はあると考えるのが普通です。
Google広告の場合
まずは、以下のキャンペーン一覧画面より「表示項目の変更」を選択します。
表示項目として「インプレッションシェア損失率(予算)」に関する選択にチェックを入れます。
この際、似たような選択肢が複数あるので間違えないように注意しましょう。
なお、検索広告とディスプレイ広告の各指標は別の項目となっているので、両方にチェックを入れると良いです。
出てきた損失率を確認しましょう。
この際、画面右上のレポート対象期間に応じて損失率も変動するので、直近の「過去30日程度の期間」を選択しておくのがオススメです。
以下アカウントの例だと、過去30日の間で検索連動広告のインプレッションシェア損失率(予算)が24%にも及んでいることになりますが、これは非常に悪い数値です。
また、日別の損失率推移を確認するために、以下の通りグラフの表示項目としてインプレッションシェア損失率を指定してみましょう。
ここでも検索広告とディスプレイ広告の選択肢は別になっているので、ご注意ください。
これは損失率が24%あった前述のアカウントとは別のアカウントですが、損失率の累計が約2%であることが確認できます。
また、直近で一時的に損失率が5%以上まで上昇していますが、定常的な損失ではないのでこの程度であれば大きな問題はありません。
このように数値の確認を行います。
自社のアカウントの期間累計インプレッションシェア損失率が高い(目安としては5%以上)状態であったり、定常的に損失率が高いようであれば、改善の余地は大きいです。
Yahooスポンサードサーチの場合
基本的な手順はGoogle広告と同様です。
まずは、キャンペーン一覧画面から「表示項目の編集」を選択してください。
出てきた選択肢から「インプレッション損失率(予算)」を選択します。
実績確認期間を過去30日間程度に設定して、インプレッション損失率(予算)を確認します。
以下の例だと、約2%であり大きな問題は無いことが確認できます。
Yahooの場合、媒体画面上のグラフで過去の損失率推移を確認することはできません。
そのため、過去の推移を確認するためには個別にレポートを出力する必要があります。
この場合、まずは以下の通り「パフォーマンスレポート」の出力を選択してください。
出てきた画面で「新規レポートを作成」を選択します。
画面上部の「キャンペーンレポート」を選択し、表示切替として「日」、表示項目として「インプレッション損失率(予算)」を選択します。
画面下部の集計期間として「過去30日間」、表示対象として「すべて」を選択し、「作成」ボタンを押します。
出てきたレポートをExcelで開いてグラフ表示するなどすれば、過去のキャンペーン別インプレッション損失率の確認ができるという訳です。
その他広告の場合
YDN等のレポートとして明示的にインプレッション損失率を出力することが出来ない媒体の場合、直近の日付においてキャンペーン単位の日予算上限設定により配信が止まっていることが無いかを確認することで、インプレッションシェア損失が発生しているかどうかある程度判断することが出来ます。
例えば、昨日のキャンペーン日予算が1万円であり、実際の配信も1万円程度であった場合、日予算キャップにより強制的に配信が停止していると考えられます。
適正な運用がされている場合、目安として実際に消化した媒体費の1.5倍以上の金額が日予算キャップとして設定されていることになるはずです。
そうでない場合、不必要に高い入札単価が指定されている(パフォーマンスを犠牲にしている)可能性が高いので注意しましょう。
その他にも問題が発生していないか確認しよう
ここまでの話で、損失率(予算)の発生有無を確認して適切に対応することで、広告費用対効果を改善させることが可能であることがお分かりいただけたかと思います。
ただ、この事象に対応するだけで「問題は解消!よかったよかった!」という単純な話にはなりません。
広告予算の適正活用は数ある広告運用最適化ポイントの一つでしかありません。
しかも、インプレッションシェア損失率(予算)の是正は各種運用手法の中でも比較的簡単な対応なのです。
なんせ、基本的には入札単価の調整だけで対応できるのですから、日ごろから数値をみて適切な入札管理を行っていれば、本来あまり発生しません。
問題はそれすら対応できていなかった(日ごろから数値管理がされていなかった)という現状の運用体制にあると考えるべきです。
当方の経験上、予算管理業務の基本にあたるインプレッションシェア損失率(予算)の管理に問題がある場合、広告文設定や入稿キーワードやターゲティング設定など、その他の各種設定にも大きな問題を抱えている可能性が非常に高いです。
少々話は変わりますが、ハインリッヒの法則をご存知でしょうか。
これは、1つの重大災害や重大な事故1件につき、軽微な事故が29件、さらにその背後に隠れた事故寸前の案件が300件あるとされる統計学的傾向に関する法則です。
インプレッションシェア損失率(予算)の発生は広告運用上、このヒエラルキーの頂点近くに位置する重大な問題であり、その背後には複数の問題が隠れている可能性が高いです。
ただし、その他複数の問題はインプレッションシェア損失率のように定量的数値として、良し悪しの確認が出来ないものがほとんどです。
例えば、「広告文には検索クエリに応じた適切な訴求が行われていること」という、何ともごもっともなチェックがあったとして、適切な広告文とは何か判断できるでしょうか。
単純に「検索クエリが広告文に盛り込まれているかどうか」といった確認だけでは不十分です。
競合の広告文を確認して差別化要素を盛り込んだり、ユーザーの検索意図を類推しながらLPとユーザーをシームレスに結びつける広告文を考えるといった観点が必要となります。
CTRが高いだけの広告文もいただけません。
なぜなら、CTRが高くても無駄クリックが増えるだけであれば、それはむしろ無駄コストを生む悪い広告文であるからです。
上記はあくまで一例ですが、WEB広告に不慣れな広告主が、その是非について判断するのは非常に難しいであろうことは、容易に想像できます。
そこで、当方では無料で現在のアカウント構成や各種過去実績を確認させていただき、第三者的立場から各種改善ポイントについてご指摘するサービスをご用意しています。
また、ご希望であれば当方で広告運用を代行することも可能です。
更に、一定の条件を満たす必要はありますが、当方の広告運用で広告パフォーマンスが改善しなかった場合、運用手数料を全額返金するキャンペーン(詳細は以下)を実施しています。
特にインプレッションシェア損失が発生していることが確認できたアカウントをお持ちの方は、無料のアカウントチェックを強くお勧めしています。
キャンペーン、広告グループ、広告、キーワードといった各種単位で、プロの目から網羅的なチェックを行い、具体的な改善ポイントをご指摘いたします。
決して損はさせませんので、興味のある場合はご検討いただけると幸いです。