この度、Google AdWordsのスマートディスプレイキャンペーンで「コンバージョンに対するお支払い」が可能になりました。

かみ砕いて言うと、媒体機能で成果報酬型の広告運用ができるようになったということです。

参考:コンバージョンに対するお支払い -AdWords公式ヘルプ

 

コンバージョンに対するお支払いとは

従来、Google AdWordsではクリック単位もしくはインプレッション単位での課金方式にて運用することが可能でした。

今後はこれに加え、スマートディスプレイキャンペーンに限って、キャンペーン設定の支払い対象を「コンバージョン」に設定した上で、1件のコンバージョンに対していくら払うかを示す「目標コンバージョン単価」を設定することにより、広告のクリック数やインプレッション数によらず、CV発生数に応じた従量課金が可能になるということです。

アフィリエイトや、一部広告代理店の運用プランとしては一般的な課金方式ですが、これを媒体側が正式な機能としてリリースしたというのは少々驚きました。

Googleの自動入札機能に対する自信の表れということでしょうね。

コンバージョンに対して課金されるのであれば、いわゆる広告運用を失敗して赤字になるというケースを防ぐことが可能となります。

ただし後述いたしますが、その裏側の配信ロジックを想定しておかないと、思わぬしっぺ返しを食らう恐れもあるかと考えています。

導入にあたっての制約

スマートディスプレイキャンペーンでこの課金方式を導入するためには以下の2個の制約をクリアする必要があります。

① 過去30日間にアカウント内のコンバージョンが100件以上必要

そもそもスマートディスプレイキャンペーンは過去のコンバージョン発生状況を学習した上で、コンバージョンの発生が想定されるターゲットへ自動的に配信を寄せていく機能です。

そのため、学習が十分にされた前提でないとこの成果報酬型の課金プランは選択できないようになっています。

Googleとしても、CVが出ないかもしれない配信を成果報酬型でやるなんてリスクの高いことは当然しないということです。

ちなみに、今回の成果報酬型課金タイプではない、従来のCPC課金タイプのスマートディスプレイキャンペーンで「目標コンバージョン単価」を設定して運用する場合の自動化適用可能条件は以下の通りです。

スマート ディスプレイ キャンペーンでは目標コンバージョン単価が使用され、コンバージョンに焦点が当てられます。過去の掲載結果に照らし、コンバージョン獲得の可能性が高い場合は入札単価が引き上げられ、コンバージョン獲得の可能性が低い場合は入札単価が大幅に引き下げられます。必要な学習期間が終わり、2 週間が経過するか、またはコンバージョンが 50 件に達した時点で、キャンペーンの最適化が開始されます。

今回の成果報酬型の課金タイプ導入の条件は上記の条件より厳しいため、成果報酬型の課金についてはGoogleとしてもある程度慎重になっていることを伺い知ることができます。

② 広告クリックから7日以内に90%のコンバージョンが発生

例えば、不動産等の高額商材は広告クリックからCVまでの検討期間が長いため、上記条件に合致しないことが想定されます。

また、①の条件で多くのCVが必要となっていることからも、そもそも高額商材はこの成果報酬型の課金タイプとの親和性は低いでしょうね。

ちなみに、クリックから何日以内にコンバージョンが発生しているかについてはAdWordsの画面から確認することが可能です。

想定される影響

リスクの無い成果報酬型運用ができる!万歳!と手放しで喜ぶことができればよいのですが、個人的に一番懸念しているのはスマートディスプレイキャンペーンの広告配信ターゲットは完全にGoogle任せになっているという点です。

スマートディスプレイキャンペーンの広告配信ターゲットに関しては、公式ページに以下の記載があります。

掲載結果データに基づき、広告主様のビジネスに最も利益をもたらすユーザーにアプローチして、できるだけ多くのコンバージョンを獲得します。スマート ディスプレイ キャンペーンでは 2 つのターゲティング方法が使用されます。その 1 つである自動リマーケティングでは、広告主様のウェブサイトを訪れたことがあるユーザーにアプローチします。もう 1 つの自動ターゲティングでは、購買プロセスの初期段階にいるユーザーにアプローチできます。

そう、つまりド新規ユーザーに対する配信なのか来訪者に対するリターゲティングなのかの内訳が不明という仕様となっており、これが最大の懸念であると考えています。

 

ここでCPC課金時と成果報酬型の課金時を比較しながら、裏側の配信ロジックを考えてみましょう。

Googleにとっての正解は、広告配信時に発生する媒体費の期待値を最大化(つまりはGoogleの収益を最大化)するということです。

そのため、CPC課金時においてはよりクリックされやすいターゲットに、成果報酬型の課金時においてはよりCVしやすいターゲットに配信を寄せるのがGoogleにとって正解となります。

実際に広告運用をしていると分かるのですが、ダントツでCVしやすいのはリマーケティング広告かつ直近の日付にサイト来訪したユーザーに対する配信です。

つまり、成果報酬型課金を適用するとスマートディスプレイキャンペーンはこの「直近の日付にサイト来訪したユーザーに対するリマーケティング広告」に配信の内訳が大きく寄っていくことが想定されます。

 

CVが発生するなら別に良いじゃん!と思いますか?

実は、リマーケティング広告というのはCV獲得効率こそよく見えるものの、そのCVは広告を配信していなくても発生するであろうCVを多分に含んでいるため、実質的なリターゲティング広告のCV数リフトアップ効果は少ないのです。

これについては別記事でもいずれ解説しようと思いますが、私の言いたいことを非常に的確に表現してくれている記事があったので、以下リンクを張らせていただきます。

参考:http://www.fringe81.com/blog/?p=2376 -リターゲティング広告は実はそこまで成果を出していない。皆がハマる効果計測のワナ

 

私は代理店で広告運用しながら、クライアントが見事にこのワナにはまっていくケースを何度も見ました。

リマーケティング広告の効果が実際は薄いことを証明するのはなかなか大変なのですが、断言します。

日本のマーケットはリマーケティング広告の効果を過大評価しすぎです。

 

リマーケティング広告を運用する場合は他施策より厳しめの目標CPAを設定して過剰配信とならないよう注意しましょう。

ただし、スマートディスプレイキャンペーンではそういった配信ターゲットに応じて目標CPAを変えることはできません。

便利な機能であることは間違いないのですが、こういったリマーケティング広告過大評価のリスクが裏に潜んでいることを十分理解したうえで実施することを強く推奨いたします。

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