2019年2月14日にYDN動的ディスプレイ広告(Dynamic Ads for Display)がローンチされました。
参考:YDN動的ディスプレイ広告リリースについて|Yahoo
これまで、一部の大型クライアントに対してのみβ版として水面下で配信されていた同広告ですが、ついにどの広告主でも利用できるようになったということですね。
この記事では、そんなYDN動的ディスプレイ広告について、深掘りしていきます。
記事後半で「Criteoより低CPAで運用するために必要な対応」についても言及していますので、広告運用者は必見の内容です!
この記事の目次(クリックで遷移)
動的ディスプレイ広告の特徴
一般的に動的ディスプレイ広告は、以下のような特徴を持っています。
動的ディスプレイ広告の特徴
- 1個の広告枠の中に複数の広告を表示可能
- ユーザーの行動に合わせた広告を表示可能
- CTRやCVRが高くなりやすい
1個の広告枠の中に複数の広告を表示可能
通常の静的バナー広告の場合、1個の広告枠には基本的に1個のバナー画像しか掲載することができません。
しかし、動的バナー広告ならその配信フォーマットに応じては1個の広告枠の中に複数のバナー画像を表示させるといったようなことも可能です。
おそらく見たことがあると思いますが、イメージとしては以下のような広告(以下はCriteo広告の例)ですね。
動的ディスプレイ広告の場合、1個の広告枠で複数のバナー画像を見せることもできるため、ユーザーへの訴求力もアップするという訳です。
ユーザーの行動に合わせたバナーやLPを表示可能
例えば、ユーザーがECサイトでNikeの靴の商品ページを閲覧した場合、動的ディスプレイ広告なら閲覧したNikeの靴の画像を使用したバナー広告を出すことが可能です。
バナーをクリック時のLPは当然、実際にユーザーが閲覧したNikeの靴の商品ページとなります。
この際、媒体の判断でそのユーザーが興味を示しそうな商品画像を同一広告枠内に合わせて表示させることも可能です。
CTRやCVRが高くなりやすい
基本的にユーザーが実際に見た商品等がバナーとして表示されるため、広告がユーザーにクリックされやすい傾向があると共に、商品が購入される確率も通常のバナー広告より高くなります。
ただし、既にユーザーが購入済の商品が何度も広告として表示される事も多々あるため、広告費の無駄との思いから掲載を嫌う広告主がいるのも事実です。
必要に応じて配信ユーザーの除外設定を施す等の工夫も検討しましょう。
YDN動的ディスプレイ広告の掲載枠
掲載枠はYahoo! JAPANのパソコン版およびスマートフォン版(アプリ・ブラウザー)のトップページのほか、各サービスページ(Yahoo!ニュース、Yahoo!天気・災害、Yahoo!路線情報など)や、提携パートナーサイト(外部ニュースサイトやエンタメ情報サイト)などとなっています。
また、この枠は動的ディスプレイ広告の代名詞ともいえるCriteoの広告が掲載されることも多いです。
つまり今後、YDN動的ディスプレイ広告とCriteo広告はライバル関係として争っていくことになると考えられます。
配信開始にあたって必要となる作業
まず注意として、現状ではすべての広告主が今すぐ使用できるわけではなく、出稿にあたってはYahooの正規広告代理店を経由する必要があります。
あなたが広告代理店担当者でない場合、まずは担当の広告代理店にYDN動的ディスプレイ広告を配信したい旨について相談してみてください。
「代理店を介さずに自社で広告運用している」という場合は、当方でおすすめの代理店をご紹介、もしくは代理店アカウントのみを貸与させていただき、実際の広告運用自体は御社で実施頂くような調整が可能なケースもあります。(この場合、管理手数料は通常運用よりも大幅に値引き可)
ご希望の場合は、以下よりご相談ください。
さて本題に戻りまして、配信にあたって必要となる作業は以下3点です。
必要な作業
- 専用のリターゲティングタグを設置
- データフィード(商品リストファイル)のアップロード
- 広告配信キャンペーンの作成
専用のリターゲティングタグを設置
YDNのリターゲティングタグに対し、動的ディスプレイ広告配信にあたって必要となる各種パラメータを追記したタグをサイトに設置する必要があります。
なお、閲覧した商品に関する「商品ID」パラメータは必ずリターゲティングタグ内に反映する必要があります。
商品IDが反映されていないと、媒体側で実際にユーザーが閲覧した商品を判断できないため、ユーザーの行動に合わせた商品広告を表示できません。
データフィード(商品リストファイル)のアップロード
以下のような情報を含む商品リストファイルを媒体にアップロードする必要があります。
アップロードする必要がある商品情報
- 商品ID
- 商品名
- 商品価格
- 商品URL など
媒体は前述のリターゲティングタグ内に反映された「商品ID」とデータフィード内の「商品ID」を照合して、表示させる広告内容を決定するため、双方の「商品ID」は必ず一致している必要があります。
広告配信キャンペーンの作成
YDNの媒体画面上で動的ディスプレイ広告用のキャンペーンを作成します。
ここから、広告配信時の入札単価設定などを行います。
Criteoより低CPAで運用するために必要な設定
結論から言うと、リーセンシー(ユーザーがサイトに訪問してからの経過日数)などに応じて広告グループを細分化すると共に、入札上限単価も個別コントロールして運用することが重要です。
Criteoが動的ディスプレイ広告として大きく伸びてきたのは、この入札単位細分化&入札上限単価決定機能が優れているからです。
CVRはリーセンシーに応じて大きく変動することをご存知でしょうか。
例えば、1日前にサイトに訪問したユーザーは1週間前にサイトに訪問したユーザーより、サイト再訪時のCVRが明らかに高くなる傾向があります。
商材にもよりますが、経験的には3倍以上のCVRの開きがあります。
仮に1日前にサイト訪問したユーザーのCVRが3%なら、1週間前に訪問したユーザーのCVRは1%程度ということです。
この両方のユーザーに対し、同一CPCで広告配信してしまうのは合理的ではないですよね。
つまり、広告クリック時の見込みCVRや、1クリックあたりの平均売上金額の高低に応じて広告グループを細分化し、入札単価に高低を付けることが運用パフォーマンスを左右する大きなポイントとなるのです。
実は、GoogleやCriteoはこの辺の調整自動的にやってくれるので、必ずしも広告グループの細分化&入札管理の細分化をする必要はありません。
というより、自動的に上手くやるからという理由で、媒体としてはあえて細分化しないことを推奨しています。
ただし、Yahooはこの辺の自動運用機能が非常に貧弱であるため、手動でグループを細分化して入札管理しないと良いパフォーマンスを出すことはできません。
ここでは広告グループ細分化時の要素として「リーセンシー」について述べましたが、他にも「閲覧ページの種類」や「閲覧ページ数」等を細分化要素として取り入れることも良いと思います。
なぜなら私の広告運用経験上、サイト再訪時のCVRはこれら要素に応じても変動するからです。
実装は少々面倒になりますが、もし興味があれば当方でご相談に乗ることも可能です。
YDN動的ディスプレイ広告とCriteoは併用すべきか
YDN動的ディスプレイ広告はCriteoと配信面が被っています。
そのため、Criteoを配信している広告主の場合、そもそもYDN動的ディスプレイ広告実施のメリットは無いと思われるケースもあると思います。
しかし一方、Criteoの動的ディスプレイ広告は配信にあたって月間最低UU数4万が必要、CPC24円以下では入札不可、最低出稿金額は60万円といった数々の制約が存在します。(これらは最新の制約数値ではない可能性もあり)
仮に目標CPAを1,000円と決めて広告運用をしている場合、最低入札CPCが24円のCriteoだと、見込みCVRが2.4%(24÷1000)以下になるユーザー層に広告出稿してしまうと、どうしてもCPAが1,000円を超えてしまうことになります。
つまり、30日前にサイトに来訪したユーザーが再訪した際の見込みCVRが仮に1%だとすると、このユーザーに対してはCriteoだとどうしても目標CPA以下での広告配信ができないということです。
ただし、YDN動的ディスプレイ広告なら最低入札価格の制限はないため、CVR1%の同ユーザーに対してCPC10円で広告配信することで、CPA1,000円が達成可能と考えられます。
上記はあくまで机上の例であり、実際の運用にあたってはその他様々な要素を考慮する必要もありますが、大枠として間違ったことは言っていません。
そのため、一度YDN動的ディスプレイ広告をCriteoと併用して運用、もしくは一時的にCriteoを停止して運用し、パフォーマンスを比較してみるといった価値は十分にあるでしょう。