カテゴリ設計やタグ設計を最適化するだけで、サイトアクセス数をアップさせることが可能なケースが多い事をご存知でしょうか。
この記事では、カテゴリやタグとは何ぞやといった基本的な話から、アクセスアップのために必要となる考え方まで広くご説明します。
個人的には、特にタグに関して上手に活用できているサイトは少ないとの実感がありますが、工夫次第でサイトに大きなメリットをもたらすことが可能です。
これから、そんなカテゴリ設計およびタグ設計の世界を紐解いて参りましょう。
この記事の目次(クリックで遷移)
カテゴリとは
カテゴリとはジャンル軸からページを分類する手法の事です。
また、カテゴリには親子の階層関係を持たせることが可能です。
と言っても具体例がないと理解しづらいと思いますので、これよりECサイトを例としてカテゴリの考え方について説明して参ります。
例えば、ECサイトでバッグやアクセサリを売りたいと考えた時、当然各商品毎の商品ページを作成しますよね。
この商品ページを商品ジャンル毎に分類した時、商品ページの上位に位置するページ(以下の図の青色部分)をカテゴリページと言います。
なお、本記事で言うところのカテゴリページは、そのカテゴリ配下に属する商品の一覧ページを想定しています。
具体的には、「バッグ」のカテゴリページだとすると以下のようなイメージとなります。
カテゴリページを設置するメリット
結論から言うと、以下の通りです。
カテゴリページ設置のメリット
- ユーザーが商品を探しやすくなる(ユーザビリティのメリット)
- ビッグワードでの自然検索集客が見込めるようになる(SEOのメリット)
上記カテゴリページのメリットを説明するためには「カテゴリページを設置しなかった場合のデメリット」を考えてみると理解が深まります。
カテゴリページを設置しない場合のデメリット
例えば、前述のカテゴリページを廃止して以下のように商品ページをそのままサイトトップページ配下に設置するサイト構成とした場合、どんなデメリットが生じるでしょうか。
ユーザビリティ面のデメリットで言うと、ユーザーが「このサイトで販売されているバッグの商品一覧を見ながら購入商品を選びたい」と考えた時に見るべきページが存在せず利便性が低下するため、結果的にセッションあたりの商品購入率は低下することになるでしょう。
上記はあくまでユーザビリティに関する分かりやすいデメリットですが、今回注目していただきたいのはSEO面でのデメリットです。
バッグを探しているユーザーは「バッグ 通販」といったビッグワードで商品を探すケースが多いです。
バッグを販売しているECサイトは当然こういった検索クエリの自然検索結果に対し、自社ページを上位掲載させたいですよね。
しかし、もしサイトがカテゴリ階層を持たない前述の図ような構成であった場合、ユーザーに対してバッグA、バッグB、バッグCといった個々のバッグの商品ページを自然検索結果に出すしかなくなります。
とは言え「バッグ 通販」といったようなざっくりしたKWでの検索するユーザー(の大多数)は、個々のバッグの商品ページを見たいわけではありません。
つまり、ユーザーの検索意図に沿ったページがサイト上に存在しないということになるためサイトが検索エンジンから評価されず、検索結果への上位掲載も難しくなってしまうのです。
そこで必要となるのが、カテゴリページという訳です。
カテゴリの導入により、ビッグワードで検索したユーザーの受け皿となるページが用意できるので、ビッグワードに対する自然検索結果にサイトを掲載できるようになるというSEO効果が生まれやすいのです。
実際「バッグ 通販」のKWでの検索結果ページには、見事に各サイトの「バッグ」のカテゴリページが並んでいることからも、その重要性は明白です。
なお、ユーザーは他にも「ショルダーバッグ 通販」といったように、もっと絞り込んだKWで検索を行うこともあります。
そこで役に立つのが、親子の階層関係を持ったカテゴリを設定するという手法です。
具体的には、親カテゴリとなる「バッグ」カテゴリの配下に子カテゴリとなる「ショルダーバッグ」カテゴリを設定し、その配下に商品ページを位置付けておけば、「ショルダーバッグ 通販」に対応するLPが用意できるということになります。
カテゴリ設計時には、このように検索ニーズの高いキーワードを用いてカテゴリを細分化することが重要なのです。
カテゴリページはパンくずリストからの内部リンクで強化
特定のカテゴリページを上位掲載(強化)したい場合には、サイト内の関連性の高いページからカテゴリページ対して内部リンクを集めるという手法がSEO的に有効です。
検索エンジンからのページ評価をアップさせるためには自サイトに対する外部リンクを集めることも有効ですが、これは時間を要すると共に、そもそも自サイトでは外部リンクをコントロールできないという問題があります。
一方、内部リンクの最適化は自サイトで完全にコントロール可能というメリットがあります。
この場合、パンくずリストを使ってカテゴリページに対してシステマチックに内部リンクを集めると良いでしょう。
パンくずリストとは
サイトを閲覧していて、ページの上部に以下のようなリンクを見たことがあるかと思います。
これが、パンくずリストです。(上記はamazonの例)
検索エンジンは内部リンクを多く受けているページは、サイトの中で重要なページであると判断します。
パンくずリストを設置すると、下位階層の商品詳細ページから上位階層に位置するカテゴリページ等へシステマチックに内部リンクを付与することが可能となります。
商品ページが1ページだけではそれほど大きな意味はありませんが、商品ページが多くなるにつれカテゴリページに対する内部リンクも勝手に増えていきます。
つまり、パンくずリストを設置しておけば、サイトの成長(商品数の拡充)に伴い自然とカテゴリページの検索エンジン評価が上昇していく仕組みを備えることができるということになります。
パンくずリストには、ユーザーに閲覧中のページの階層情報を伝えるという役目もありますが、SEO面からも意味のある施策であることを覚えておくと良いでしょう。
カテゴリは通常1個のみ設定する
特定の商品ページに対して複数のカテゴリを設定することも可能ですが、あまりお勧めはできません。
なぜなら、複数のパンくずリストが存在する場合、検索エンジンは情報の階層構造を理解するために最初に発見したパンくずリストのみを使用するからです。
2個目以降のパンくずリストは意図的に無視します。
パンくずリストを複数設置すること自体は問題ないのですが、検索エンジンに最も伝えたいカテゴリ構成のパンくずリストをより上部に設置しておかないと、検索エンジンに意図するメッセージ(強化したいページ)を正しく伝えることができません。
また、特定の商品詳細ページが複数のカテゴリ配下に存在する状況はユーザーにとって分かりづらいサイト構成とも言えるため、私はあまり積極的におすすめはしておりません。
商品ページを複数の観点で分類したいのであれば、1商品に対して複数のカテゴリを設定するよりも、これより説明する「タグ」を活用することをおすすめします。
タグとは
タグとは、カテゴリとは異なる自由な切り口でカテゴリ横断的にページを分類する手法です。
また、タグはカテゴリの様に親子関係を持たせることはできませんが、1記事に対して複数付与することも可能です。
これまた文字だと分かりづらいと思いますので、具体例を交えて説明していきましょう。
例えば、前述のECサイト対してタグの概念を導入すると、各種商品ページに対して以下のようなタグを付与することが可能です。
この際のタグは自由な切り口で設定することが可能ですが、上記の図では仮に「卒業式」や「レザー」や「真珠」といったイベントや素材軸でのタグを付与してみました。
このように商品ページに対してタグを付与しておくと、上記の図右側に示すようなタグページをシステマチックに作成することが可能となります。
なお、タグページの具体的なイメージとしては以下(「卒業式」のタグが付与されたバッグに関するタグページの例)を想定しています。
タグページの見た目はカテゴリページと似ていますね。
ただし、タグの切り口(分類方法)はカテゴリとは異なり、「卒業式」に持参できそうなバッグのみを集めた商品一覧ページとなっています。
タグページを設置するメリット
結論から言うと、以下の通りです。
タグページ設置のメリット
- カテゴリワードでアプローチできない切り口でユーザーが商品を探しやすくなる(ユーザビリティのメリット)
- カテゴリワードでアプローチできない切り口のキーワードでの自然検索集客が見込めるようになる(SEOのメリット)
さて、ここで言うところの「カテゴリワードでアプローチできない切り口」とは何でしょう?
カテゴリワードでアプローチできない切り口とは
前述の以下カテゴリ構成のサイトにおいて、「バッグ 卒業式」という検索クエリの受け皿となるページは存在しているでしょうか
しいて言うならバッグのカテゴリページですが、卒業式に向いているバッグだけの一覧ページではないので、検索結果への上位掲載は難しいでしょう。
これに対し、タグページを持つサイトであれば、以下の図に青色で示す卒業式向けのバッグ一覧ページをシステマチックに作成することが可能です。
例示したカテゴリ設計のサイトにおいては、タグ設計を合わせて行ったからこそ「卒業式」の切り口でユーザーにアプローチできるようになったと言えます。
一般的なECサイトではイベントの度に特集ページを作成し、そこで各イベントに対応した商品を紹介することもあるでしょう。
ただし、こういった特集ページは作成に大きな労力を要します。
一方、タグを活用した商品一覧ページであればシステマチックに作成ができるため、切り口別のページをわざわざ個別に作成するという工数を省くこともできるのです。
また、切り口は「卒業式」等といったイベント以外にも無数に存在するため、全ての切り口に対応する特集ページを個別に作成するというのは現実的ではありません。
こういったケースにおいては、タグページを活用することで特集ページ作成の工数を削減すると共に、流入増の効果も期待できるのです。
タグページは商品詳細ページからの内部リンクで強化
カテゴリページと同様、タグページも商品ページからの内部リンクを集めることで、検索エンジンからの評価を向上させることが可能です。
具体的には、以下(JEANS MATEの商品詳細ページに設置されているタグを例示)の様に商品詳細ページのどこかに該当商品に対して設定されたタグのボタンを設置し、各タグページへの内部リンクとします。
こうすることで、タグの内容に関連した商品ページからタグページへの内部リンクを集め、タグページに対する検索エンジン評価をアップさせるのです。
タグ作成時の注意点
自由な切り口でページ(商品)を分類することで、新たな価値与えることができる便利なタグ機能ですが、その自由さゆえの注意点もあります。
カテゴリとは切り口を変えること
「バッグ」のカテゴリが存在するにもかかわらず、「バッグ」のタグを作成してしまうのはNGです。
この場合、カテゴリページとタグページの内容がほとんど同じとなってしまい、重複コンテンツとして検索エンジンに判断されるリスクが高まります。
そのため、タグを作成する際にはかならずカテゴリとは異なる切り口でアプローチするようにしましょう。
関連ページの少ないタグは作らないこと
仮にバッグの素材の切り口から「木製」というタグを作成した場合、「木製」のタグを設定できるバッグはどのくらいあるでしょうか。
実際にサイト内で木製バッグを多く取り扱っているのであれば問題ないでしょう。
ただし、該当商品が数点しかないにもかかわらず「木製」のタグページが作成されてしまうことはSEO的には望ましくありません。
なぜなら、こういった存在価値の低いページは検索エンジンから低品質コンテンツとして判断されてしまう可能性があるからです。
なお、以下は存在価値の低いタグページのイメージです。
低品質コンテンツを多数保有しているサイトは、検索エンジンからのサイト評価自体を低下させてしまうリスクがあります。
そのためタグはむやみに作成せず、該当商品が多いかつニーズのある切り口でのみ作成するようにコントロールしましょう。
タグページは検索エンジンンにインデックスされないようにnoindexタグを付与すべきって本当?
余談ですが「タグページはnoindexとすべき」などという声を聞くことがあります。
しかし、この考え方は少々乱暴です。
むやみに作成された低品質なタグページを多数持つサイトは、サイト評価低下のリスクを避けるためにタグページをnoindexとすべきです。
ただし、計画的にコントロールされたタグページは検索エンジンにindexさせることで、前述の通り新たな検索クエリからのサイト流入を生むための武器となります。
これまでの話を踏まえると、サイトは後者のパターンで対応すべきであることは明白ですよね。
カテゴリ設計とタグ設計の最適化によりアクセスアップは可能
さて、ここまでカテゴリとタグの違いやその活用方法について説明いたしました。
カテゴリやタグを上手に活用することで、自然検索結果からの流入を増やすことが可能であることについてお分かりいただければ幸いです。
個人的に、ECサイトを見ていて非常に勿体ないなと思うことがよくあります。
せっかく価値のあるコンテンツ(商品)は存在しているのに、タグやカテゴリ設計を上手くできていないがために、本来は自然検索結果からサイトに呼び込めるはずのユーザーをみすみす逃しているようなケースです。
私は「商品の素材軸でタグを追加すればいいのに」とか、「カテゴリの名称はもっと検索需要のあるワードにすべきなのに」等と考えます。
SEOに精通した人間でないと、こういった観点でのサイトの伸びしろには気づくことができません。
そこで、当方ではサイトのカテゴリ&タグの設計支援コンサルティングを行っております。
アクセスアップのためには、検索ニーズや商品数の多いワードを意識しつつ、カテゴリやタグを用いて戦略的に記事を分類することが重要です。
コンサルティング時には、Google AnalyticsやGoogle Search Console等のデータを開示していただいた上で、アクセスアップの切り口として有効なタグやカテゴリの設計戦略について具体的なアドバイスをいたします。
サイトの新規立ち上げ時はもちろんの事、既存サイトの改善アドバイスも十分可能です。(というより、既存サイトに関するアドバイス事例がほとんどです)
特にECサイトにおいてはカテゴリ設計とタグ設計を見直すことで、商品数を増やすことなくアクセスアップさせることが可能なケースは非常に多いのです。
サイトが伸び悩んでいるようであれば、是非お気軽に以下よりご相談いただけると幸いです。