2018年11月22日、ついにYahooスポンサードサーチ広告版のITP2.0対応策がリリースされました。
ITP2.0の影響でsafariで発生したCV数が過少計測される問題もこれで解消です。
ここでは、その実装方法について解説いたします。
この記事の目次(クリックで遷移)
ITP2.0による広告アカウントが受ける影響とは
まず前提知識として、ITP2.0の概要とその影響についてざっくりとおさらいしましょう。
ITP2.0とは、Appleのsafari12.0以降のブラウザに導入されている3rd party cookieの使用可否をコントロールする機能です。
機能自体の詳細は割愛しますが、結果として広告アカウントにおいては以下のような影響が発生するのが特徴であり、リリース時には広告やアフィリエイト業界において大激震が起こりました。
ITP2.0により広告アカウントが受ける影響
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- 3rd party cookieを使用したCV計測が一切できなくなる(CV計測面の問題)
- リターゲティング広告配信対象となるユーザーリスト蓄積ができなくなる(リターゲティング広告配信面の問題)
CV計測面の問題に関し、safari11.0以前のブラウザで機能するITP1.0では3rd party cookieを使用したCV計測でも、広告クリックから24時間以内のCV計測は可能との名目でしたが、バージョン格上げに伴い一律CV計測不可との扱いとなった点が大きな違いです。
ただし、CV計測面の問題に関しては1st party cookieを使用したCV計測に切り替えることで対処が可能です。(リターゲティング広告配信面の問題はそもそも解決策はありません)
Google広告(旧Google Adwords)はITP2.0のリリースに合わせてその対処方法をリリースしていたのですが、今回はGoogleに大幅に遅れながらもYahooスポンサードサーチ版の対処方法がリリースされたということですね。
また、上記のITPはあくまでsafariブラウザのみで発生する機能ですが、2018/12月時点において日本でのsafari普及率はスマホで約74%、PCで約9%となっています。
この数値を踏まえると、特にスマートフォン向けの広告配信をしている広告アカウントにおいてはこの問題に対処しない限り、致命的な程の計測漏れが発生する可能性を秘めていることがお分かりいただけるかと思います。
(2019/2/25追記)なお、2019/2/21にmacOS High SierraおよびMojave上のiOS 12.2およびSafari 12.1のベータ版にITP2.1が搭載予定との発表がありました。
本実装はITP2.0への対応ですが、ITP2.1が実装された場合はCV計測に対応しきれない可能性があります。
なお、ITP2.1に関しては以下記事も合わせてご参照ください。
Yahooスポンサードサーチ版ITP2.0対応の実装方法
対処の重要性について理解していただいたうえで、早速その実装方法について見ていきましょう。
実施しなければならないことは以下3点です。
Yahooスポンサードサーチ広告のITP2.0対応として実施しなければならないこと
- 広告アカウント側で「自動タグ設定」機能をオンにする
- ドメイン内の全ページに対して「サイトジェネラルタグ」を設置する
- URLにアカウント判別パラメータを付ける(管理アカウントが1個の場合は設定不要)
ということで、まずは自動タグの設定方法から見ていきましょう。
自動タグの設定方法
広告アカウントにおいて自動タグ機能をオンにすると、広告クリック後の遷移先URLに「yclid=YSS.xxxxxxxxx」(xxxの部分は一意かつランダムな文字列)といったパラメータが付与されるようになります。
ということで、サイト側に何らかのタグを追加するといったような作業は不要です。
自動タグの設定方法は以下の通りです。
- 広告管理ツールの「スポンサードサーチ」タブをクリックする。
- 「アカウント管理」タブをクリックする。
- 編集するアカウントの[確認]ボタンを押す
- 「アカウント設定情報」画面が表示されるので、ページ下の[アカウ ント設定情報を変更]ボタンを押す
- 「アカウント設定情報の変更」画面にある「自動タグ設定」で「オ ン」を選択し、[変更内容の確認へ]ボタンを押す
- 「自動タグ設定」が「オン」になっていることを確認し、[決定]ボタ ンを押す
以上で自動タグの設定は完了です。
続いて、サイトジェネラルタグの設定方法について見ていきましょう。
サイトジェネラルタグの設定方法
サイトジェネラルタグは実際にサイトの全ページに対して設定する必要があるタグです。(リターゲティングリスト作成用のタグのようなイメージ)
また、サイトジェネラルタグに関する実装方法は以下2パターンに応じて大きく分かれることとなります。
- 対象ドメインでCV計測を行っている広告アカウントが1個の場合
- 対象ドメインでCV計測を行っている広告アカウントが複数の場合
通常は1アカウントで広告管理しますが、広告運用にあたって複数代理店が入っていたり、アカウント規模が大きいためアカウントを複数に分けている場合も稀にあるかと思います。
1アカウントのみで運用している場合の実装方法は複数の場合と比較して非常に単純ですので、まずはそちらから見ていきましょう。
対象ドメインでCV計測を行っている広告アカウントが1個の場合
この場合は以下のサイトジェネラルタグをそのままHTMLソース上のheadタグ内に設置するだけです。
- <script async src="https://s.yimg.jp/images/listing/tool/cv/ytag.js"></script> <script> window.yjDataLayer = window.yjDataLayer || []; function ytag() { yjDataLayer.push(arguments); }
- ytag({"type":"ycl_cookie"});
- </script>
この際、サイトジェネラルタグの読み込みがなるべく確実に行われるよう、head開始タグ直後の設置が推奨されていますが、サイト内容に応じて導入しやすい位置に設置しても問題ありません。
また、2019年3月にYahoo!タグマネージャーの「タグカタログ」に上記の「サイトジェネラルタグ」が追加されたため、それを利用することも可能です。
Google Tag Managerの「カスタムタグ」を利用した実装も可能ですが、そこはYahooのサポート外なので自己責任で設置との扱いになります。
なお、サイトジェネラルタグは以下の手順で各広告アカウントからも確認可能ですが、タグ中に各アカウントに依存するような固有パラメータは存在しないため、内容は前述のタグ内容と全く同じです。
- アカウント一覧画面で該当アカウントの「確認」ボタンを押す
- 画面下部「自動タグ設定」の欄に表示されている「サイトジェネラルタグを表示」をクリック
※ 事前に自動タグ設定を「オン」にしてある場合のみ、「サイトジェネラルタグを表示」ボタンが表示されます。
ボタンが表示されない場合は一度自動タグ設定を「オン」に変更&適用してから再度お試しください。
- 表示されたタグを確認
対象ドメインに対してCV計測を行っている広告アカウントが複数の場合
この場合は実装方法が少々複雑となります。
アカウントが1個の場合と比較した際の違いは以下の通りです。
サイトジェネラルタグ内に各アカウントに1対1で対応する固有の識別子(prefix)を追加する必要がある
例えば、AアカウントとBアカウントの複数アカウントで広告配信していた場合、サイトジェネラルタグ内に"A"と"B"といったような管理対象アカウント固有の文字列を追加するようなイメージとなります。
ケースとしては少ないと思いますので実装方法は割愛しますが、実装方法詳細については必要に応じて以下Yahooの公式リリース情報をご確認ください。
なお、広告代理店用アカウントにログイン済のブラウザで開かないと閲覧権限がありませんので、ご注意ください。
参考:「自動タグ設定機能」提供開始のお知らせ(ITP2.0対策)
URLにアカウント判別パラメータを付ける
これは、管理アカウントが複数の場合のみ必要となる作業であり、アカウントが1個の場合は実施不要です。
概要としては、前述のサイトジェネラルタグ内に付与したアカウント個別の識別子(prefix)を実際の広告配信時のURL末尾にもパラメータとして付与する作業となります。
例:https://www.xxx.co.jp?prefix=A
上記例の場合、Aアカウントで使用するURLのためパラメータとしてAを付与していますが、Bアカウントで使用するURLの場合はここにBを付与するようなイメージです。
パラメータの付与にあたっては最終リンク先URLに直接追記しても良いですが、アカウントで一律の対応となるため、媒体機能の「トラッキングURL」や「カスタムパラメータ」を利用して付与すると良いでしょう。
参考:トラッキング情報の管理について(トラッキングURL、カスタムパラメータ)
また、実装方法の詳細については以下Yahooの公式リリース情報も合わせてご確認ください。
なお、広告代理店用アカウントにログイン済のブラウザで開かないと閲覧権限がありませんので、ご注意ください。
参考:「自動タグ設定機能」提供開始のお知らせ(ITP2.0対策)
YDNもサイトジェネラルタグでITP2.0に対応可
2019年1月29日にYDNもYahooスポンサードサーチと同様、サイトジェネラルタグを全ページに実装し、自動タグを「オン」にすることでITP2.0に対応したコンバージョントラッキングができるようになりました。
なお、YDNとYahooスポンサードサーチで使用するサイトジェネラルタグは全く同一の内容で問題ありません。
また、YDNはYahooスポンサードサーチと異なり、複数アカウントで出稿している場合でも固有の識別子(prefix)を設定する必要はないとのことです。
つまり、YahooスポンサードサーチのITP2.0に対応するための実装が整っていれば、YDNアカウント側の自動タグを「オン」にするだけでITP2.0への対応が完了するということですね。
YDNの自動タグは、YDNのアカウント一覧に表示されているアカウント別の「確認」ボタンをクリックし、出てきた画面より設定可能です。
なお、本発表後の2019年2月14日にYDNで動的ディスプレイ広告がリリースされました。
今考えてみると、動的ディスプレイ広告を盤石の態勢でスタートさせるために、前もってYDNのITP2.0対応方法をリリースしたという事なんでしょうね。
以下は当サイトのYDN動的ディスプレイ広告に関する記事ですので、興味があれば合わせてご覧ください。